
白血球減少時の食事と免疫力向上と彩り豊かな食卓の話
私たちの日々の暮らしの中で、健康はかけがえのない宝物です。
特に、身体を感染症から守る大切な役割を担う白血球は、私たちの免疫システムの中核を成しています。
健康な方の場合、血液1立方ミリメートルあたり4000個から9000個の白血球が存在しているとされています。
しかし、時に抗がん剤治療など、特定の医療行為や病状によって、この大切な白血球の数が一時的に減少することがあります。
白血球が減ってしまうと、私たちの身体は普段よりも感染症にかかりやすくなってしまうため、日々の生活、特に食事にはより一層の注意が必要となるのです。
「生ものを食べても大丈夫かな?」「外食は控えるべきなのだろうか?」
白血球が減少している患者さんやそのご家族は、食事に関してさまざまな不安を抱えることがあります。
実は、白血球の減少は、骨髄の造血機能が一時的に低下することに起因することが多いです。
抗がん剤は、分裂が盛んな細胞を標的にするため、骨髄の細胞もその影響を受けることがあります。
白血球、特に好中球と呼ばれる種類の白血球が減少すると、感染症への抵抗力が弱まります。
白血球の数が少なくなるほど、またその期間が長くなるほど、感染症のリスクは高まるため、状況によっては白血球を増やす薬剤が投与されることもあります。
白血球減少時の食事の基本原則
白血球が減少したからといって、悲観的になる必要はありません。
残念ながら、直接的に白血球を増やす効果のある食品はないと言われていますが、私たちの身体が持つ免疫力を最大限に引き出すための食事方法は確かに存在します。
それは、腸内環境を良好に保ち、バランスの取れた食事を心がけることです。
免疫細胞の約70%は腸に存在していると言われているため、腸を健康に保つことが、免疫力を高めるための大きな鍵となるのです。
避けるべき食品と、その理由
白血球が減少している時期は、免疫機能が低下しているため、特に食中毒のリスクに注意が必要です。雑菌が繁殖しやすい食品は、可能な限り控えるようにしましょう。
- 生肉、刺身、生卵、生寿司などの生もの:これらの食品は、加熱されていないため細菌やウイルスが付着している可能性があります。
- 生野菜:土壌菌が付着している可能性があるため、特に好中球が500/?以下の場合や免疫抑制剤を服用している場合は、十分に加熱したものを摂取するのが安心です。生で食べる場合は、流水でよく洗い、皮が厚い果物を選ぶなどの工夫が必要です。
- ドライフルーツ、乾燥芋:水分が少ないため雑菌が繁殖しやすい環境にあることがあります。
- 検査を通っていない自家製漬物、自家製ヨーグルト、カビを含むチーズ(カマンベールなど):発酵食品の中には、特定の菌類を含むものがあります。市販品で殺菌表示のあるものは比較的安全ですが、自家製は雑菌の種類を特定できないため避けるのが賢明です。
- 皮の薄い果物(いちご、ぶどう、キウイなど):洗い残しがあると菌が付着している可能性があるため、皮を厚くむけるものや缶詰、加熱済みのものを選びましょう。
外食時も、サラダバーやビュッフェ形式の料理は避けるなど、より慎重な選択が求められます。
調理された食品は、作ってから2時間以内を目安に食べきるように心がけることが大切です。
免疫力UPのための食卓の彩り
では、どんな食事を心がければ良いのでしょうか。白血球が減少していても、食卓を豊かに彩る工夫はたくさんあります。
大切なのは、腸内環境を整えること、そして身体に必要な栄養素をバランスよく摂取することです。
腸を元気にする食品
プロバイオティクスとして知られる発酵食品は、腸内の善玉菌を増やし、悪玉菌を減らす助けとなります。例えば、以下のような食品がおすすめです。
- 納豆:日本の伝統的な発酵食品であり、腸内環境を整えるだけでなく、豊富な栄養素を含んでいます。
- ヨーグルト:生菌が含まれている市販のヨーグルトは、手軽に善玉菌を補給できます。ただし、自家製ヨーグルトは避けるようにしましょう。
- キムチ:乳酸菌が豊富に含まれています。ただし、市販品で十分に発酵が管理されているものを選びましょう。
- チーズ:一部のチーズ(プロセスチーズなど)も発酵食品として腸内環境に良い影響を与えます。カビを含むチーズは避けましょう。
これらの食品を日々の食事に取り入れることで、腸内フローラのバランスを整え、免疫細胞が活発に働く環境を育むことができます。
ビタミンとミネラルで免疫をサポート
免疫力を高めるためには、ビタミンやミネラルの摂取も欠かせません。特にビタミンAは、粘膜の健康を保ち、
免疫機能をサポートする重要な栄養素です。緑黄色野菜に豊富に含まれています。
- にんじん、かぼちゃ、ほうれん草、パセリ、ブロッコリー、トマト、モロヘイヤ:これらはビタミンAの宝庫です。加熱して食べることで、吸収率も高まります。例えば、かぼちゃの煮物やほうれん草のおひたし(十分に加熱したもの)などは、手軽に食卓に取り入れられるメニューです。
また、免疫細胞の働きを助ける果物も積極的に摂りたいものです。皮を剥いて食べられるものや、缶詰、加熱調理されたものが安心です。
- バナナ、柑橘類(みかん、オレンジなど)、いちご、キウイフルーツ:これらはビタミンCも豊富で、抗酸化作用も期待できます。特にいちごやキウイは、十分な洗浄と皮を剥くなど工夫をして摂取しましょう。
日々の食卓を豊かにする工夫
白血球減少という状況は、食事の選択肢を狭めるように感じるかもしれません。
しかし、工夫次第で食卓は十分に彩り豊かになります。大切なのは、安全に、そして美味しく食べることです。
調理のポイントと食中毒予防
食中毒予防は、白血球が減少している期間において最も重要な課題の一つです。以下のポイントを徹底しましょう。
- 手洗いの徹底:調理前、食事前、排泄後には必ず石鹸で丁寧に手洗いを行ってください。
- 調理器具の衛生管理:包丁やまな板は、生肉や魚を扱ったものと、野菜などを扱うものを分けるのが理想的です。使用後は熱湯消毒するなど、清潔を保ちましょう。
- 十分な加熱:肉や魚はもちろんのこと、野菜も十分に加熱して食べることが大切です。中心部まで火が通っているか確認しましょう。
- 早めに食べる:調理した食品は、細菌が繁殖しやすいため、作ってから2時間以内を目安に食べきりましょう。冷蔵庫で保存する場合も、翌日には食べきるようにし、再加熱する際はしっかり火を通してください。
具体的な料理のアイデア
例えば、麻婆豆腐は白血球が減少している時期にもおすすめのメニューです。豆腐は大豆製品であり、良質なたんぱく質を摂取できます。
ひき肉は十分に加熱し、豆腐や野菜(長ネギやピーマンなど、しっかり火を通したもの)と一緒に煮込むことで、栄養満点で温かい一品になります。
また、発酵調味料である豆板醤や甜麺醤も、加熱調理されることで安心して食べられます。スパイシーな味付けは、食欲が落ちている時にも食欲を刺激してくれるかもしれません。
他にも、野菜をたっぷり入れた温かいスープや、鶏肉や魚を柔らかく煮込んだ煮物なども良いでしょう。
ご飯は炊きたてを食べる、パンはトーストするなど、常に新鮮で加熱済みのものを選ぶ意識が大切です。
外食への向き合い方と心のケア
「白血球が減ると外食ができない」という患者さんの不安は、とてもよく理解できます。
しかし、絶対に外食ができないわけではありません。お店選びとメニュー選びに工夫を凝らせば、外食を楽しむことも可能です。
- 信頼できるお店を選ぶ:衛生管理がしっかりしていることが確認できるお店を選びましょう。
- メニュー選びのポイント:刺身や生野菜などの生ものは避け、十分に加熱された定食や丼物、うどんやそばなどの麺類を選ぶのが安心です。揚げ物や焼き物も、中までしっかり火が通っているか確認しましょう。
- お店に相談する:もし可能であれば、お店の方に事情を伝えて、特別に配慮してもらえるか相談するのも一つの方法です。
白血球減少は、身体的な問題だけでなく、精神的な負担も伴います。食事の制限や感染への不安は、気分を落ち込ませることがあります。
そんな時は、無理をせず、家族や友人に頼ることも大切です。一緒に料理をしたり、安全な外食先を探したりすることで、心の支えとなることがあります。
白血球減少にまつわるエピソード
ある患者さんは、抗がん剤治療中に白血球が大きく減少し、大好きな生野菜や果物が食べられなくなってしまいました。
最初はとても落ち込み、食欲もわかなかったそうです。しかし、ご家族が「温かいサラダ」や「フルーツを煮詰めたコンポート」など、
これまでの食生活ではあまり馴染みのなかった工夫を凝らした料理を作ってくれたことで、次第に食事が楽しくなっていったと言います。
特に、にんじんを細かく切って炒め、甘辛く味付けした「きんぴら風にんじん」は、ご本人が「今までで一番おいしいにんじん料理だった」と笑顔で話すほどでした。
このように、制限がある中でも、新たな食の楽しみを見つけることができるのです。
大切なのは相談と情報収集
白血球減少症は、薬剤性のものや、その他さまざまな原因で引き起こされることがあります。
市販薬やサプリメントが影響することもあるため、もしご自身の白血球の数値に不安を感じる場合は、
速やかにかかりつけ医や血液内科医に相談し、その原因を特定することが非常に重要です。
適切な診断と治療を受けることで、安心して日々の生活を送ることができます。
食事は私たちの身体を養うだけでなく、心も豊かにする大切な要素です。
白血球が減少している時期は、制限が多いと感じるかもしれませんが、それを乗り越えるための工夫や知恵はたくさんあります。
安全を最優先にしながらも、栄養バランスの取れた、心安らぐ食事を心がけることで、きっとこの困難な時期を乗り越える力になることでしょう。
より深く学びたい方へのおすすめ
免疫力と身体の仕組みについて、さらに知識を深めたい方には、こちらの書籍が大変おすすめです。
『免疫力を高める生き方食べ方暮らし方 自律神経と白血球の働きが大切』安保徹 著
安保徹先生は、免疫学の権威として知られ、自律神経と白血球の働きの密接な関係について多くの啓発活動を行ってこられました。
この本は、免疫の仕組みをわかりやすく解説し、日々の生活の中で実践できる免疫力向上のヒントが満載です。
レビューの評価も高く、多くの読者に支持されている一冊です。ご自身の免疫力を高め、より健康的な生活を送るための羅針盤となるでしょう。
私たちは、一人ひとりが持つ「食」の力を信じ、この情報が皆さまの健康な毎日の一助となれば幸いです。
ご自身の体調と向き合い、医師や栄養士と相談しながら、最適な食事方法を見つけていきましょう。
冷凍OK長寿の簡単野菜スープ*免疫力UP&食卓彩る
by なでしこ2

材料(10人分)
玉ネギ<皮を剥き、ざく切り> / 200g
水 / 2000cc
にんじん<5~8mm厚、半月切り> / 200g
キャベツ<ざく切り> / 200g
(冷凍又は生)かぼちゃ<一口大> / 200g
************* / *******
以上が基本です☆以下お好みで追加例 /
玉ネギの皮<洗って水切りネット袋に> / ↑から出たぶん
かぼちゃの種、ワタ<水切りネット袋に> / ↑から出たぶん
通年:★冷凍保存してた色々な野菜の切り屑 / 水切りネット1袋
塩、こしょう、醤油、ブイヨン、味噌、生姜 / お好みで
カレー粉、ローズマリー、じゃがいも、鶏肉 / 適量
春:小松菜、夏:トマト、秋:蓮根、薩摩芋 /
冬:大根、ブロッコリー、ごぼうなど / ひとつかみ
通年:シソの葉 /
レシピを考えた人のコメント
血液サラサラに!野菜嫌いな父が毎日飲んだスープ!野菜を漉しスープだけでも美味しく免疫力アップ。色々なアレンジ可能。野菜はグラタン、カレー、オムレツ他リメイクも。
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