タラモサラダって覚えてますか?日・仏・ポのブランダード比較と『ポルトガルのごはん』

【比較】日本のタラモサラダの原点
フランスとポルトガルのブランダードから紐解く奥深いポルトガルの食文化
ふと、食卓に並ぶあのタラモサラダを見たとき、そのクリーミーな姿のルーツはどこにあるのだろう、と考えたことはありませんか。
タラコとマッシュポテトを和えた、手軽で美味しい、日本でもすっかりお馴染みの一品です。
パンに塗っても良し、お酒の肴にしても良し。このシンプルな美味しさの陰に、
遠い異国の伝統料理「ブランダード」の存在があるのではないか、と感じています。
ブランダード。耳慣れない方もいらっしゃるかもしれませんが、これは主に地中海沿岸、特にフランスとポルトガルで大切に受け継がれている伝統的なタラ料理です。
共通しているのは、塩漬けにしたタラ(干しダラ)とジャガイモをベースにしている点。しかし、この二つの国で育まれたブランダードは、実は全く異なる顔を持っているのです。
今回は、この興味深い違いを探りながら、料理が持つ文化的な背景を紐解いてまいります。
フランスのブランダード:洗練された「ペースト」のエレガンス
まずは、フランスのブランダードから見ていきましょう。正式には「ブランダード・ド・モリュ(Brandade de Morue)」と呼ばれます。
「モリュ」とはフランス語でタラのこと。この料理が特に有名なのは、南フランス、太陽が降り注ぐプロヴァンス地方です。
この地域は上質なオリーブオイルの産地としても知られており、当然ながらフランス版ブランダードにはオリーブオイルが欠かせません。
ペースト状に昇華された、南仏の味わい
フ
ランスのブランダードの特徴は、その**形状と食感**にあります。
塩抜きしたタラを、温めた牛乳やクリーム、そして豊かな風味を持つオリーブオイルと共に丁寧に混ぜ合わせ、まるでムースのような、滑らかでクリーミーなペースト状に仕上げるのです。
この洗練された口当たりこそが、フランス料理らしい「スタイリッシュ」なエッセンスを体現しています。
仕上げに、プロヴァンス地方特有のにんにくの香りが加わり、味に深みを与えます。
温かいトーストやバゲットにたっぷり塗っていただくのが一般的で、軽食や前菜として、食卓を優雅に彩ります。
料理人たちが、素材の味を最大限に活かしつつも、よりエレガントな一皿へと昇華させた結果と言えるでしょう。
この滑らかなペーストは、特に南仏産のキリッとした白ワインと見事に調和し、豊かなひとときを演出します。
ポルトガルのブランダード:バカリャウが主役の素朴な家庭料理
一方、大西洋に面したポルトガルでは、ブランダードは全く異なる姿で愛されています。正式名称は「バカリャウ・ア・ブラス(Bacalhau a Bras)」。
「バカリャウ」とは、ポルトガル語で塩漬けタラ、つまり**干しダラ**を指します。
ポルトガルは世界でも有数のバカリャウ消費国であり、タラを使った料理は「**千通りある**」と言われるほど、国民の食生活に深く根付いています。
タラとジャガイモの素材感を楽しむ「炒め煮」
ポルトガル版ブランダードは、フランスのようなペースト状にはせず、**具材の食感**をしっかりと残すのが大きな特徴です。
塩抜きしたバカリャウをほぐし、オリーブオイルで炒めた玉ねぎやにんにくと合わせます。そこに茹でたジャガイモを加え、さらに**溶き卵**を流し入れて全体をふんわりとまとめ上げます。
フランスのブランダードと比べると、リッチなクリームや牛乳の使用は少なく、卵とジャガイモが重要な役割を果たします。
この「バカリャウ・ア・ブラス」は、まさに素朴な家庭料理の代表格です。
フランスでは洗練された前菜として扱われますが、ポルトガルではメインディッシュとして親しまれ、その地位も異なります。
家族の集まりや、**祝祭の席**で登場することが多く、タラとジャガイモ、卵が織りなす優しい味わいは、人々の心を温めるソウルフードと言えるでしょう。
ポルトガル 料理 レシピの中でも、非常にポピュラーで、各家庭の個性が光る一品でもあります。
フランスとポルトガルのブランダード:決定的で興味深い3つの違い
同じ「タラとジャガイモの料理」でありながら、フランスとポルトガルでこれほどまでにスタイルが分かれたのは、それぞれの国の食文化と歴史が反映されているからです。その違いを改めて比較してみましょう。
重要な比較ポイント
- 形状と食感:
- フランス:**滑らかなペースト状**。パンに塗るスプレッドのようなクリーミーさです。
- ポルトガル:**具材の食感が残る**。ほぐしたタラとジャガイモ、卵の炒め煮で、素材の存在感があります。
- 主要な副材料:
- フランス:**牛乳、クリーム、多量のオリーブオイル**。リッチでコクのある仕上がりです。
- ポルトガル:**卵、ジャガイモ(細切りやポテト)、オリーブオイル**。シンプルで素朴な味わいです。
- 料理の位置づけ:
- フランス:前菜、軽食。洗練されたイメージが強いです。
- ポルトガル:**家庭料理、メインディッシュ**。家族団らんの中心にある料理です。
タラモサラダとブランダードの意外な関係性
こうしてフランスとポルトガルのブランダードの違いを見てみると、日本のタラモサラダは、その中間点にあるような存在に思えてきます。
タラモサラダがタラコとマッシュポテトを混ぜ合わせるように、ブランダードもまた、タラ(干しダラ)とジャガイモを主役としたシンプルながら奥深い料理です。
タラモサラダの「クリーミーさ」や「ペースト状」という特徴は、フランスのブランダードのスタイルと通じるものがありますし、
ジャガイモが加わることで「具材感」も生まれる点は、ポルトガルのバカリャウ・ア・ブラスの要素も感じさせます。
異なる国の食文化が出会い、形を変えながら、新しい美味しいものが生まれる。
これは、食の歴史における非常に興味深い現象です。タラモサラダを食べるたびに、遠い南欧の**ポルトガル
食文化**に思いを馳せてみるのも楽しいかもしれません。
さらに深く知る、ポルトガル料理の尽きない魅力
バカリャウ・ア・ブラスを代表とするポルトガル料理は、私たち日本人にとって非常に親しみやすい特徴を持っています。
海に囲まれた地理的条件から、魚介類を豊富に使い、味付けは塩やオリーブオイルが基本。
このシンプルさが、素材の味を活かす日本料理の感覚と共通しているのです。
**アローシュ・デ・パト**(アヒルの炊き込みごはん)や、様々な**米料理**が日常的に食べられていることも、日本人がポルトガル料理に魅了される大きな理由です。
また、大航海時代にカステラや天ぷらを日本に伝えたポルトガルの食文化は、古くから私たちの食卓に影響を与えてきました。
ポルトガル 料理 レシピを調べてみると、どこか懐かしい、ホッとするような味わいに出会うことができます。
ポルトガル 食文化を自宅で体験!書籍『ポルトガルのごはん』のご紹介
フランスとポルトガルのブランダードの違いを知り、ポルトガル料理の奥深さに興味を持っていただけたなら、ぜひ手に取っていただきたい一冊があります。それは、書籍**『ポルトガルのごはん』**です。
この本は、単なる**バカリャウ レシピ**集ではありません。
ポルトガルの人々の日常の食事、家族の団らんの様子、そして食卓を囲む温かい雰囲気を、エッセイと美しいイラストで紹介する、まるで世界の食卓 絵本のような趣を持っています。
朝ごはんの焼きたてのパンから、昼食をゆっくり楽しむ習慣、そして地方ごとの特色ある料理まで、現地の暮らしに密着した視点で描かれています。
「ポルトガルのごはん」を読むことで、あの素朴で温かいバカリャウ・ア・ブラスが、どのような場所で、どのような人々の手によって作られているのかが目に浮かびます。
ポルトガル 料理 レシピの紹介はもちろんのこと、その歴史的な背景や、日本の食文化との繋がりについても触れられており、読み物としても非常に充実しています。
料理を通じて異文化を理解し、日常の食卓を豊かにするヒントを与えてくれるこの書籍は、旅好きの方、料理好きの方はもちろん、**世界の食卓
絵本**としてお子様と一緒に楽しむのにも最適です。
自宅にいながらにして、ユーラシア大陸最西端の国、ポルトガルの食卓を旅するような気分に浸れるでしょう。
ぜひこの一冊を手に取り、**ポルトガル 食文化**の優しさに触れてみてください。あなたの食に対する好奇心と発見は、きっと新しい豊かさにつながるはずです。
【スパークリングに合う】簡単リメイク♪ブランダード
by りんね♪フードアナリスト

材料(2人分)
バゲット / 1/2本
ポルトガル風グラタン / 1/2
ハーブ(チャービル、パセリ等) / 3本(なくても可)
牛乳or生クリーム / 50ml
バター / 20g
粗挽きブラックペッパー / ひとつまみ
付け合せの野菜(トマト等) / 小1個
付け合せの葉野菜(チャービル等) / 2/3パック
レシピを考えた人のコメント
ポルトガル風グラタンをリメイクしてお手軽フレンチ♪
フレンチの定番『ブランダード』♪
ハーブの香りとタラの旨味、お芋とホワイトソースの濃厚さがスパークリングに◎
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