
現代の「コ食」:孤食は良しなのか?悪なのか?
共食の価値と食の多様性を考える
現代社会において、私たちの食生活は多様化し、その様相は日々変化しています。
かつて当たり前だった「家族みんなで食卓を囲む」という光景は、もはや絶対的なものではありません。核
家族化や共働き世帯の増加、ライフスタイルの多様化に伴い、様々な「コ食」が浸透してきました。
では、この「コ食」とは一体何なのでしょうか。そして、その中でも特に注目される「孤食」は、本当にネガティブな側面ばかりなのでしょうか。
本稿では、この「コ食」の多角的な側面を深掘りし、私たちの食と心身の健康、そして社会との繋がりについて考察していきたいと思います。
多様化する「コ食」の姿
「コ食」という言葉をご存知でしょうか。これは、現代における食生活の乱れや変化を表す言葉として使われるようになっています。
一言で「コ食」といっても、その内容は実に多岐にわたります。ここでは、代表的な「コ食」の種類を改めてご紹介いたします。
- 孤食:文字通り、一人で食事をすることです。パンデミック下では、この機会が否応なく増えた方も多いのではないでしょうか。
- 個食:家族が食卓を囲んでいても、それぞれが異なるメニューを食べることを指します。コンビニエンスストアやスーパーマーケットの総菜の普及も、この個食を後押ししている側面があります。
- 粉食:パスタやパン、うどんといった小麦粉由来の主食を好んで食べる傾向を指します。手軽さや調理のしやすさから、特に若い世代で増えているといわれています。
- 小食:食べる量が極端に少ないことを指します。ダイエット志向や食欲不振など、様々な要因が考えられます。
- 濃食:味付けの濃いものや、塩分・糖分・脂質が多い食事を好んで食べる傾向です。健康面での影響が懸念されます。
- 子食:子どもたちだけで食事をすることです。親の帰りが遅い家庭や、習い事などで食事の時間がずれる場合に発生しやすいです。
- 戸食:外食ばかりすることを指します。家庭での調理の機会が減り、食費の増加や栄養バランスの偏りが問題となることがあります。
- 固食:自分の好みのものばかり食べる偏食を指します。栄養バランスが偏りやすく、成長期の子どもたちにとっては特に注意が必要です。
- 虚食:何も食べない、いわゆる欠食の状態を指します。朝食を抜く、食事を抜いてダイエットをするなど、様々な背景があります。
これらの「コ食」は、現代社会の忙しさやライフスタイルの変化と密接に関わっています。
子どもにばかり時間を割けないと感じる日も、確かに少なくないでしょう。
しかし、これらの「コ食」の存在を知っているかいないかだけでも、食への意識は大きく変わってくるのではないでしょうか。
「コ食」が心身に与える影響
これらの「コ食」は、単なる食事の形態の変化に留まりません。健康だけでなく、私たちの心にも悪影響を及ぼす可能性があると考えられています。
食卓を囲み、家族や仲間と同じものを食べながらコミュニケーションを取ることは、単に栄養を摂取する以上の意味を持っています。
例えば、孤食が続くと、食事に対するモチベーションが低下したり、食事が単なる「作業」になってしまったりすることがあります。
また、個食や固食は、栄養バランスの偏りにつながりやすく、生活習慣病のリスクを高める可能性も指摘されています。
さらに、子食は、子どもたちの食育の機会を奪い、食に関する知識やマナーを学ぶ機会が失われることも懸念されます。
食を取り巻く環境は、私たちが意識しないうちに、非常に深く根付いていくものです。
食事を作る人が食べる人を思い、食べる人が作る人に感謝する。
「おいしいね」「ありがとう」という気持ちが交わされる食卓は、心豊かな生活を送る上で非常に大切な要素であるといえます。
「孤食」は本当に寂しいものなのか?外国から見た視点
特にあの時、パンデミック下において、一人暮らしの人々の間で「孤食」の機会は飛躍的に増加しました。
常に自分だけのために食事を準備し、一人で食べるという行為は、多くの人にとって決して心躍るものではないかもしれません。
しかし、本当に孤食はネガティブな側面ばかりなのでしょうか。海外に目を向けると、孤食に対する意外な見方が存在することもわかってきます。
ロンドン大学東洋アフリカ研究学院(SOAS)で人類学を研究するムクタ・ダス氏によれば、「私たちはそれを『孤食の危機』と呼んでいます。
フランスではマナーの危機、中国では家族の危機と言われています」と述べています。
世界中の多くの国々で、食事は皆で一緒にするのが望ましく、一人での食事はこの常識に反すると考えられているのが現状です。
しかし、パンデミックが長期化したあの時、この孤食に対する人々の意識は変化し始めています。
料理研究家のナイジェラ・ローソン氏が提唱した「おひとりさま向けクッキーの作り方」のように、「一人で作る」ためのレシピが注目を集めるようになりました。
ダス氏は、「実家は大家族だったから、みんなが集まる場が食事。だから驚いた。
自分だけの食事がこんなにも楽しいなんて」という声を聞いたと言います。ロックダウンは、一人での食事に対する人々の感覚を変えるきっかけとなったのです。
「ときには一人だけの食事のほうがヘルシーで、栄養面でも勝っていたりする」。ダス氏は、そんな考え方に変わりつつあると指摘しています。
確かに、誰かに気を遣うことなく、自分の好きなもの、食べたい量を自由に選べるという点は、孤食の利点として挙げられるでしょう。
自分の体調や好みに合わせて、栄養バランスを意識した食事をじっくりと楽しむ時間は、心身のリフレッシュにも繋がる可能性があります。
これは、共食が持つ社会的な意味合いや、文化的な背景が深く関係しているためと考えられます。
「共食」の持つかけがえのない価値
では、孤食のメリットを理解した上で、改めて共食の価値について考えてみましょう。
共食とは、複数人で食事を共にすることです。これは単なる栄養摂取の場ではなく、コミュニケーションを育み、絆を深める大切な時間となります。
食育と共食
特に、子どもたちにとって共食は重要な食育の場です。家族や大人と一緒に食事をすることで、
食卓でのマナーや食事の準備・片付けの手伝いなど、食に関する実践的な知識を学ぶことができます。
また、様々な食材に触れ、旬の味や郷土料理を知ることで、食への興味や関心を育むことができます。
会話の中で「この野菜は〇〇の味がするね」「これはどうやって作るの?」といったやり取りが生まれることで、
子どもの探求心や好奇心を刺激し、食の知識が自然と身についていくのです。
精神的な豊かさと共食
共食は、心の健康にも良い影響を与えます。食事を共にすることで、他者との共感や連帯感が生まれます。
日々の出来事を話したり、悩みを打ち明けたりする中で、精神的な安定を得ることができます。
特に現代社会はストレスが多く、孤立しがちな状況が増えています。
そんな中で、食卓を囲む時間は、心のオアシスとなり、日々の活力を生み出す源となるのです。
社会性の醸成と共食
共食は、単に家族間だけでなく、友人や同僚、地域の人々との繋がりを深める上でも重要です。
食事会や飲み会、地域のイベントなど、食を介した交流は、社会性を醸成し、多様な価値観に触れる機会を与えてくれます。
異文化理解や、社会における自分の役割を認識する上でも、共食の経験は大きな意味を持つと考えられます。
「孤食」の課題と向き合う
孤食にはメリットがある一方で、やはりその問題点も無視できません。特に孤食 子供という状況は、栄養面や精神面において多くの課題を抱えています。
孤食と栄養バランス
孤食の場合、自分の好みに偏りがちになり、栄養バランスが崩れるリスクが高まります。
特にコンビニエンスストアや外食に頼りがちになると、野菜不足や高塩分・高脂質になりやすく、生活習慣病のリスクを高める可能性があります。
また、食事の準備が面倒に感じ、簡単に済ませてしまうことで、必要な栄養素が不足してしまうことも少なくありません。
孤食と心の健康
孤食が続くと、寂しさや孤独感を感じやすくなることがあります。特に高齢者や一人暮らしの若者にとって、食事の時間が唯一の会話の機会である場合も少なくありません。
その機会が失われることで、心の健康に悪影響を及ぼし、うつ病などの精神疾患のリスクを高める可能性も指摘されています。
食事が単なる栄養補給の行為になってしまい、食の喜びや楽しさを感じにくくなることも、大きな問題点です。
孤食と食育の機会損失
前述の通り、共食は食育の重要な場です。孤食が常態化すると、子どもたちは食に関する知識やマナーを学ぶ機会を失ってしまいます。
食材の旬や産地、調理法、食器の使い方など、食を通じて学ぶべきことは多岐にわたります。
これらの経験が不足すると、食への関心が薄れ、将来にわたる食生活に悪影響を与える可能性があります。
また、食事を通して培われるコミュニケーション能力や協調性も、育まれにくくなる傾向があります。
未来へ繋ぐ食の考察:足立己幸氏の研究から
現代社会の食の課題を深く考察する上で、足立己幸氏の研究は非常に示唆に富んでいます。
足立己幸氏は、長年にわたり食生態学の研究に携わり、「共食と孤食」の関係性や食の持つ意味について深く考察されてきました。
その研究は、私たちが食とどう向き合うべきか、そして豊かな食生活とは何かを考える上で、重要なヒントを与えてくれます。
足立己幸氏の著書である『共食と孤食 50年の食生態学研究から未来へ』は、まさに現代の「コ食」の問題点と、共食の重要性を多角的に分析したものです。
この書籍は、単に「孤食は悪い」と断じるのではなく、食の多様性を認めつつ、いかにして食を通じた豊かさを追求していくべきかを探っています。
歴史的背景から現代社会のライフスタイルまで、幅広い視点から食を捉え、私たちに食の未来を考えるきっかけを与えてくれます。
食環境は、私たちが意識しないうちに、とても深く根付いていくものです。
作る人、食べる人がお互いを思いながら「おいしいね」「ありがとう」という気持ちを持って食事をしていくことの重要性は、足立己幸氏の研究からも強く示唆されています。
おすすめ書籍
現代の食生活についてさらに深く学びたい方、共食と孤食の多面的な視点を知りたい方には、足立己幸氏の書籍をおすすめいたします。
『共食と孤食 50年の食生態学研究から未来へ』
この書籍は、レビューの評価も人気も非常に良い商品です。食に関する新たな気づきを得ることで、日々の食事がより豊かなものになることでしょう。
まとめ:多様な「コ食」を受け入れ、豊かな食を追求する
私たちは今、様々な「コ食」が存在する時代を生きています。孤食が持つ意外なメリット、そして共食が育むかけがえのない価値。
どちらか一方を否定するのではなく、それぞれの食のあり方を理解し、
自身のライフスタイルや状況に合わせて、いかに豊かな食生活を築いていくかが重要であると言えるでしょう。
「孤食」を余儀なくされる状況でも、工夫次第で食事の時間を充実させることは可能です。
例えば、普段食べないような凝った料理に挑戦してみたり、お気に入りの食器を使ってみたり、食事中に好きな音楽を聴いたりするのも良いでしょう。
一人だけの食事だからこそ、自分自身と向き合う時間として捉え、心身のリフレッシュに繋げることができます。
また、インターネットを活用して、同じ孤食を楽しむ人々と情報を交換したり、オンラインで共食の場を設けたりすることも、現代ならではの新しい選択肢です。
一方で、可能な限り共食の機会を大切にすることも忘れてはなりません。
家族や大切な人との食事は、単に空腹を満たすだけでなく、心の栄養となり、人間関係を深めるための大切な時間です。
子どもがいる家庭では、共食を通して食育を実践し、食の楽しさや大切さを伝えていくことが、将来の健康な食生活に繋がります。
「コ食」という言葉が示すように、私たちの食生活は複雑化しています。しかし、その多様性の中にこそ、新たな豊かさを見出すヒントが隠されているのではないでしょうか。
食に関する知識を深め、自分にとって、そして大切な人々にとって、より良い食の選択をしていくことが、現代を生きる私たちに求められていることだと考えます。
私たちは、食べることを通して生命を維持し、そして喜びを感じ、他者と繋がり、文化を育んできました。
この当たり前でかけがえのない「食べる」という行為を、これからも大切にしていきたいものです。
by みつやん0211

材料(4人分)
大豆もやし / 2袋
煮汁、下記の調味料 (漬け汁) /
水 / 300cc
塩、砂糖、薄口醤油、だしの素 / 各小さじ1
酒 / 大さじ3
酢 / 大さじ1と1/2
ごま油 / 大さじ1
鷹の爪 / 1/2個
(お好みでラー油) / 適量
レシピを考えた人のコメント
大豆もやし、素材そのものを100%味わえると思います。とにかくシンプルで美味しい!箸休めの一品に如何でしょうか!
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