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チーズリゾットから見える、日本とヨーロッパの「お米」に対する考え方の決定的な違いとは?

チーズリゾットが暴く「お米」の正体
日本人は聖域として、欧州人は野菜として愛でる
「なぜ、家で作るチーズリゾットは、ベチャベチャしたお粥のようになってしまうのか?」
料理好きの方なら、一度はこの壁にぶつかったことがあるはずです。
実はその原因、あなたの料理の腕前ではなく、日本人のDNAに刻み込まれた「お米に対する思い込み」にあるかもしれません。
かつてフランスに住み、現地のキッチンで彼らの調理法を間近に見てきました。
そこで突きつけられたのは、私たちが「聖域」として扱ってきたお米が、海を渡れば「ジャガイモやキャベツと同じ野菜の一つ」として扱われているという、衝撃的な事実でした。
今回は、チーズリゾットという一皿の料理を通じて、日本とヨーロッパの間に横たわる「決定的なお米観の違い」を紐解いていきましょう。
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1. フランスの衝撃:お米を「研ぐ」のではなく「ボイル」する人々
学生時代、レストランのアルバイトでリゾット作りに苦戦していた私は、「お米は丁寧に研いで、適正な水加減で炊き上げるもの」と信じて疑いませんでした。
しかし、フランスの友人の家庭にお邪魔した際、その常識は音を立てて崩れ去りました。
彼らは、お米をザルに入れ、まるでパスタを茹でるかのようにたっぷりの沸騰したお湯の中に投入したのです。
「えっ、お米を茹でちゃうの?」と思わず叫んだ私に、友人は不思議そうな顔で答えました。
「だって、お米は野菜(レギューム)の一種でしょ? サラダに入れるなら茹でるのが一番だよ」
日本人にとって、炊き立ての白米はそれだけでご馳走(主役)です。
しかし、ヨーロッパではお米はあくまで「肉や魚の付け合わせ」や「サラダの具材」という脇役。
この「主食 vs 脇役(野菜)」という立ち位置の違いこそが、リゾットという料理の根幹を作っているのです。
2. チーズリゾットが教えてくれる「炊く」と「煮込む」の境界線
リゾットを美味しく作る最大のコツは、お米を「洗わない」ことにあります。
これは日本の衛生観念からすると少し抵抗があるかもしれませんが、リゾットにおいてはお米の表面にある澱粉(でんぷん)が、
チーズやブイヨンと混ざり合い、あの独特のコクのあるソースに変わるからです。
日欧の「理想の食感」の決定的な違い
ここで、日本とヨーロッパのお米に対する向き合い方を比較表にまとめてみました。「構造化された情報」として整理してみます。
| 比較項目 | 日本の「お米観」 | ヨーロッパの「お米観」 |
|---|---|---|
| 基本の立ち位置 | 食事の「中心(主食)」 | 料理の「一部(野菜・付け合わせ)」 |
| 調理の概念 | 蒸らす(Rice Cooking) | 茹でる・炒める(Boiling / Saute) |
| 理想の食感 | もっちり・粘り・甘み | アルデンテ(芯が残る歯ごたえ) |
| 味付けのタイミング | 炊き上がり後に「おかず」と | 調理過程で「スープ」を吸わせる |
日本の雑炊やお粥は、弱った胃を労わる「癒しの食」ですが、チーズリゾットは、ワインと共に楽しむ「攻めの食」です。
お米にブイヨンを何度も吸わせ、最後にチーズで乳化させる。このプロセスは、お米を「穀物」ではなく「ソースを凝縮させるための媒体」として捉えている証拠なのです。
3. 歴史が作った「神聖なお米」と「外来の食材」
なぜここまで考え方が違うのでしょうか。それは、それぞれの土地が歩んできた歴史に由来します。
日本では、お米は単なるカロリー源ではなく、神事にも深く関わる「神聖な作物」でした。
一粒に七人の神様がいると教わってきた私たちにとって、お米を「茹でこぼす」ような扱いをすることは、文化的な抵抗感すら覚えるものです。
対して、ヨーロッパ(特にイタリアやフランス)において、お米はシルクロードを経て伝来した「外来の食材」でした。
小麦(パンやパスタ)が絶対的な主食として君臨する中で、お米は「少し変わった面白い食材」として、既存の野菜料理やスープの技法に取り込まれていきました。
この歴史的背景を知ると、リゾットの芯が残る「アルデンテ」が、パスタと同じ文脈で愛されている理由も納得がいきます。
—4. プロ直伝:日本のお米で「本場のリゾット」を再現する3つの秘訣
日本の粘りの強いお米を使って、ベチャベチャにならずに美味しいチーズリゾットを作るには、少しの「意識の切り替え」が必要です。
- ① お米は絶対に洗わない: 水分を吸わせてしまうと、炒める時に表面が崩れ、粘りが出すぎてしまいます。
- ② オリーブオイルでお米を「コーティング」する: 最初にお米を炒める際、透明になるまでしっかり熱を通します。これで澱粉が急激に溶け出すのを防ぎます。
- ③ スープは常に「熱いもの」を少しずつ: 冷たいスープを入れるとお米の温度が下がり、食感が損なわれます。少しずつ吸わせることで、芯まで均一に火を通します。
この工程を繰り返す中で、お米が徐々に宝石のように透き通り、チーズと一体化していく。その過程は、まさに料理を通じた異文化理解のプロセスそのものです。
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5. 結び:リゾットの一粒に宿る、世界の多様性
「お米は主食である」という固定観念を一度外してみると、食卓には全く新しい景色が広がります。
フランスで出会った「お米のサラダ」や、イタリアの「リゾット」。
それらは、日本のお米文化を否定するものではなく、お米が持つ「無限の可能性」を教えてくれるものです。
もし、あなたが日本の豊かなお米の歴史をさらに深く知りたくなったなら、ぜひ『よくわかる米の事典 3 米づくりの歴史』を手に取ってみてください。
私たちが毎日食べている一粒の背景には、数千年の試行錯誤が詰まっています。
次にチーズリゾットを作る時は、ぜひ「今日はこのお米を、美味しい野菜として扱ってみよう」と考えてみてください。
きっと、これまでで一番美味しい、自分だけの一皿が完成するはずです。
by ぽム

材料(2人分)
タマネギ / 1/4個
ニンニク / 1粒
オリーブオイル / 大さじ1
バター / 10g
米 / 3/4カップ
白ワイン(なければ日本酒かシャンパン) / 1/4カップ
ブイヨン(温めておく) / 2カップ
パルメザンチーズ(粉末) / 30g
塩・コショウ / 少々
パセリ / お好みで
レシピを考えた人のコメント
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