
ポルトガルの風をまとった日本の味
がんもどき 「飛竜頭」 に隠された逸話と邪推。
ある日、友人と食卓を囲んでいた時のことです。おでん鍋から湯気を立てる具材の中に、ひときわ目を引く丸い塊がありました。
ふっくらと揚がったそれは、紛れもない飛竜頭(ひりょうず)です。
「これ、なんて読むか知ってる?」と友人が尋ねます。
私は「ひりょうず、でしょ?」と答えました。友人はにこやかに頷き、「そう、関西ではがんもどきを指す言葉なんだよ」と教えてくれました。
飛竜頭は、がんもどきとも呼ばれ、地域によっては「ひろうす」と親しみを込めて呼ばれることもあります。
豆腐と山芋、卵を混ぜ合わせ、そこに刻んだ人参やゴボウといった彩り豊かな野菜を加えて丸め、油でじっくりと揚げたものです。
寒い季節のおでんには欠かせない存在として、多くの方に愛されています。
口に含めば、外は香ばしく、中はふんわりとした食感。
野菜の甘みと豆腐の旨みがじゅわっと広がり、心まで温まるような味わいです。
しかし、この飛竜頭という少し変わった名前の響きに、私は以前から興味を抱いていました。
漢字で書くと「飛ぶ、竜の頭」と、なんとも勇ましい。その名前の由来を調べていくうちに、驚くべき事実を知ることになるのです。
飛竜頭のルーツは遠い異国の地、ポルトガルにあり
実は、飛竜頭という名前の裏には、遠く離れたポルトガルが深く関わっているというのです。
ポルトガルには古くから「フィリョース」と呼ばれる食べ物があります。
この「フィリョース」という音が日本に伝わり、それが「飛竜頭(ひりょうず)」という漢字で表現されるようになったと言われているのです。
ポルトガルと日本の間に、このような食文化の交流があったことに、私は大きなロマンを感じました。
しかし、ここで一つの疑問が浮かびます。ポルトガルの「フィリョース」とは、一体どのような食べ物なのでしょうか?
ポルトガルの伝統菓子「フィリョース」とは
ポルトガルに存在する「フィリョース」は、日本の飛竜頭とはその性格が大きく異なります。
というのも、ポルトガルの「フィリョース」は、基本的にお菓子として位置づけられているからです。
その製法や見た目も、日本の飛竜頭とはかなり違うようです。
基本的には、刻んだ野菜を加えることはせず、むしろ揚げパンに近いイメージだと言われています。
小麦粉をベースにした生地を油で揚げ、仕上げに砂糖やシナモンをたっぷりとかけて楽しまれるのが一般的です。
甘く香ばしい香りが特徴で、クリスマスの時期など、お祝いの席で食されることも多いそうです。
さらに興味深いのは、その形が地域や家庭によって非常に多様であることです。
日本の飛竜頭といえば、丸い形を想像する方が多いかと思いますが、ポルトガルのフィリョースには、
まん丸のものの他にも、ねじったような形や、平べったいものまで存在するとのこと。
これは、家庭ごとに受け継がれてきた伝統や、地域ごとの食文化の多様性を示しているのかもしれません。
異文化との出会いが織りなす食の変遷:飛竜頭はやはり坂本龍馬か?
ポルトガルの「フィリョース」が日本に伝わり、「飛竜頭」として定着するまでの道のりは、まさに食文化の壮大な旅と言えるでしょう。
ポルトガルから日本へと渡ってきた「フィリョース」は、日本の食文化と出会い、その中で大きな変化を遂げていきました。
甘いお菓子であったものが、日本の風土や食習慣に合わせて、おでんの具材となるようなおかずへと姿を変えていったのです。
豆腐という日本独自の食材が加わり、さらに人参やゴボウといった野菜が加えられることで、栄養価も高く、風味豊かな一品へと進化しました。
しかし、時は幕末の頃。やはり坂本龍馬がポルトガルとのつながりも深かったあの頃。
有名なあの"いろは丸"の話。結局いろは丸というのは沈没してしまうんですけれども、
あれもやはり ポルトガルが絡んだ日本とポルトガルの話であったわけですが、
結局、龍馬が長崎の頃に "かすていら" などの製造にも取り組んだという話もあります。
今回のこのポルトガルのお菓子"フィリョース"も、これも龍馬か?
と瞬間的な直感か邪推かなんかで感じました。
そんな背景には、様々な要素が考えられます。
例えば、当時の日本の食糧事情や、人々の味覚の好み、あるいは禅宗の精進料理の影響などもあったのかもしれません。
ポルトガルから伝わった製法を基盤としつつも、日本人が持つ豊かな発想力と工夫によって、全く新しい「飛竜頭」という独自の食文化が花開いたのです。
このような歴史を知ることで、私たちは改めて料理における文化交流の奥深さや、楽しさを感じることができます。
一つの食べ物が、遠い異国の地で生まれ、海を渡り、長い年月を経て、全く異なる文化の中で独自の進化を遂げていく。
それはまるで、言葉の壁を越え、時代を超えてつながる人々の営みの象徴のようです。
私たちが普段何気なく口にしている飛竜頭が、実はポルトガルの風をまとった遠い親戚を持っていたとは、何とも粋な話ではありませんか。
食卓に並ぶ飛竜頭を見るたびに、私は遠いポルトガルの青い空と、そこに広がる人々の暮らしに思いを馳せるようになりました。
食文化の歴史を紐解くことは、まるで時を超えた旅に出るようなものです。
飛竜頭とフィリョースの物語は、私たちに食の多様性とその背景にある人々の知恵、そして文化交流の面白さを教えてくれます。
さらに深く知りたい方へ:おすすめの書籍
もし、ポルトガルのお菓子や食文化についてもっと深く知りたいと思われたなら、ぜひ一冊の書籍をおすすめしたいと思います。
それは、『ポルトガル菓子図鑑 お菓子の由来と作り方』という書籍です。
この本は、ポルトガルのお菓子の歴史や由来、そして詳しい作り方までが丁寧に解説されており、読者の方々から非常に高い評価と人気を得ています。
フィリョースはもちろんのこと、他にも魅力的なポルトガルのお菓子がたくさん紹介されていることでしょう。
この機会に、ぜひ手に取ってみてはいかがでしょうか。新たな食の世界が広がるに違いありません。
簡単 飛竜頭~がんもどき~おつまみにも
by YOSHI-original

材料(4~6人分)
木綿豆腐 / 1丁
長芋 / 200g
人参 / 60g
椎茸(中) / 3個
タケノコ / 120g
ねこぶだし / 中さじ1
砂糖 / 中さじ1
小麦粉 / 1カップ
揚げ油 / 適量
レシピを考えた人のコメント
弁当のおかずにも、おつまみにも色々と使えますよ。
食物繊維で腸を活発に…
詳細を楽天レシピで見る→