薪ストーブで作る、思い出のニューイングランドクラムチャウダー

ボストン留学から生まれた思い出の味、ニューイングランドクラムチャウダー
高校を卒業し、それぞれの道を歩み始めた友人たち。その多くがアメリカへと渡りました。
数年後、日本へ帰国して久しぶりに再会した彼女たちのホームパーティーに呼ばれることが増え、食卓に並ぶのは、やはり留学先の国にゆかりのある料理ばかりです。
中でも、ボストンに留学していた友人の家でいつもリクエストするのは、特別なニューイングランドクラムチャウダーです。
彼女の家には、暖かくてどこか懐かしい雰囲気の薪ストーブがあります。
その上で、大きな鍋がコトコトと音を立てて煮込まれる様子は、見ているだけで心が和みます。
時間や手間を惜しまず、じっくりと火を通すその調理法は、都会の慌ただしさとはかけ離れた、ゆったりとした時間の流れを感じさせてくれます。
その光景が本当に羨ましくて、このクラムチャウダーを味わうためだけに、本気で薪ストーブの導入を検討したくなるほどです。
大きめのスープボウルにたっぷりと注がれた、真っ白なクラムチャウダー。クラッカーを豪快に砕いて、スープに浸しながらいただきます。
一口食べると、クリーミーな口当たりの中に、あさりの旨みがぎゅっと凝縮されているのがしっかりとわかります。
ニューヨークのマンハッタンでよく見かけるトマトベースのクラムチャウダーも美味しいですが、やはりこの白いクリームスープの方が、私にはしっくりきます。
留学先で出会った料理が、帰国後の得意料理になることはよくあります。ヨーロッパ方面へ留学していた友人の得意料理は、なんだかおしゃれなものが多くて憧れます。
一方、中国にいた私の得意料理は、餃子や炒め物。
がっつりとしたボリューム感で満足してもらえますが、おしゃれさには少々欠けるため、ちょっぴり残念に感じています。
ボストンの味覚:ニューイングランド料理の魅力
このニューイングランドクラムチャウダーは、アメリカ北東部に位置するニューイングランド地方を代表する料理です。
豊かな漁場に恵まれたこの地域では、新鮮な魚介類を使った素朴ながらも味わい深い料理が数多く生まれました。
ニューイングランド料理は、新鮮な食材の持ち味を最大限に引き出すシンプルさが特徴です。
例えば、ロブスターを蒸してシンプルにいただく「ロブスター・ロール」や、ニューイングランドクラムディップといったパーティーに欠かせない軽食も人気です。
また、ニューイングランド地方は、メイプルシロップやクランベリーの産地としても知られています。
これらの食材を使ったデザートや、パンケーキ、ワッフルなどは、朝食やおやつとして人々に親しまれています。
秋には、紅葉の景色を楽しみながら、アップルサイダーを飲むのが定番の過ごし方です。
このように、ニューイングランドの人々の暮らしは、季節の移り変わりと密接に関わっていることがわかります。
私が友人の家で味わうクラムチャウダーも、まさにそういった地域の食文化を体現しているように感じられます。
薪ストーブでゆっくりと煮込まれるその姿は、慌ただしい現代社会への小さな抵抗であり、ニューイングランド地方の旬ごはんを大切にする心を感じさせてくれます。
それは、ただ美味しいというだけでなく、友人との思い出や、遠い異国での生活、そして温かい食卓を分かち合う喜びを、五感を通して思い出させてくれる特別な料理なのです。
食を通して知るニューイングランドの風土
ニューイングランド地方の食文化を知ることは、その土地の歴史や風土を深く理解することにつながります。
この地域は、アメリカで最も古い歴史を持つ地域の一つで、古くから漁業や農業が盛んでした。
冷たい海で育ったあさりは、身が締まって旨みが濃く、このクラムチャウダーに欠かせない主役となります。
ニューイングランド料理は、伝統的な調理法を守りながらも、新しい食材やスタイルを取り入れ、進化を続けています。
ボストンは、古いレンガ造りの街並みと近代的なビルが共存するように、食の世界もまた、伝統と革新が共存する魅力的な場所です。
新鮮なシーフードが並ぶ市場や、地元の人々に愛されるダイナー、そして世界中の料理が楽しめるレストランなど、食の選択肢は多岐にわたります。
そんな中で、家庭の味として根付いているニューイングランドクラムチャウダーの存在は、ニューイングランドの人々にとっての心のよりどころなのだと思います。
ニューイングランドの旬ごはんを知るおすすめの一冊
今回ご紹介したニューイングランドの食文化に、もっと興味を持っていただけた方には、ぜひ一冊の書籍をおすすめしたいです。
それは、『ボストンから、ニューイングランド地方の旬ごはん[ サリバンよしこ ]』です。
この本は、実際にボストンに暮らす著者が、現地の季節の食材を使ったレシピや、ニューイングランドの暮らしぶりを温かい筆致で綴っています。多くの方に愛されている一冊です。
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この本を読めば、私が友人のクラムチャウダーを味わったときに感じた、あのゆったりとした時間の流れや、
食材を大切にする心、そしてニューイングランドの四季折々の風景が、より鮮明にイメージできることでしょう。
私もこの本を読んで、次に友人宅へ遊びに行くときは、何か新しいニューイングランド料理を一緒に作ってみようかな、と考えているところです。
ニューイングランドクラムディップから、クラムチャウダー、そしてニューイングランド地方の旬ごはんまで、この土地の食は、私たちの五感を刺激し、心を満たしてくれます。
いつか、自分でも薪ストーブでコトコトと煮込んだクラムチャウダーを作ってみたい。そんな小さな夢を抱きながら、今日も友人との再会を楽しみにしています。
ニューイングランドクラムチャウダー
by Yumscroll-世界のレシピアプリ
材料(4人分)
アサリ(殻つき) / 800g
水 / 1カップ
ローリエ / 1枚
タイム(ドライ)みじん切り / 小さじ½
バター / 大さじ1
玉ねぎ 1cmのさいの目切り / 1個
じゃがいも 1cmのさいの目切り / 3個
家にある香味野菜(ハーブの茎等) / 適量
生クリーム / 1カップ
塩 / お好みで
黒胡椒 / お好みで
パセリ みじん切り ※ドライパセリでも可 / 大さじ1
レシピを考えた人のコメント
トロッとクリーミー、心も体もホッとする優しい味わい♪