これだ!
これだ!
昨シーズンは、タルトタタンをよく作りました。
今までは、滅多に作らなかったんですが、知り合いからリンゴを頂いてパッと頭に浮かんだんですよ、タルトタタン、『よし!今年(昨冬)は、タタンだ!』
と思って、作ってました。
まあ、誰でもリンゴを見れば、浮かびそうなもんですけど。
そして、作ってみたんですけど、やっぱり美味しい。
作る人によって色々な作り方があると思いますが、リンゴは《紅玉》がいいみたいですね、あまり他のリンゴで作ったことがないのでわかりませんけど・・・・
僕は、先にキャラメルのソースを作っちゃってから半分に切ったりんごをギッシリ詰めて作っていくんですよ、
バターをタップリいれて 『ブツブツ、ブツブツ・・・』 弱火でじっくり時間をかけて火を通していくと、少しずつリンゴがこげ茶色になってきて、
透明感が出てくるんです・・・ (すーんんーごくいい香り)で、美味しそうなんですよね・・・そんないい香りの中にいたら、懐かしい感じを思い出しちゃって・・・
子供の頃から料理を作るのが好きだった訳ではないんですが、なぜか料理は結構作っていたんですよ。
小学生の頃、夏の水泳の後など、家に母親がいなければ、自分で何かしら作っていた。
自分ひとりで、自分だけの料理を作って、自分で食べて、自分ひとりで喜んでいた、という、なんかヘンなガキだったんですね。
もっとヘンなのは、冷蔵庫を開けて、中を見ながらヘラヘラと笑っていたりとか・・・(事情通)
そんなある日、ふとしたきっかけで焼きりんごと言うものが、あると言う事を知ったんですよ。
サラリーマンだった父親が、会社の研修らしきもので、海外へ行ったことがあったんです。
そのときの食事で食べたのだと・・・。 とても美味しかったと・・・。
詳しく聞いていくうちに・・・
『これだ!』
食べたい! 作ろう! なぜか作れると思ったんです。
料理などしない父ですが、感激して作り方を聞いてきたんです。
その説明は、記憶ではこんなかんじだったのでは・・・
「りんごの芯をくりぬいて、その中にバターと砂糖を入れてホイルに包んでオーブンで焼く」・・・(多分・・)
早速、りんごを買ってきたのか、家にあってのかは忘れましたが、用意して、芯をくりぬいて、
バターがなかったのでマーガリンと砂糖を入れて、作ったんです。
すると、今思えば笑っちゃうんですが、芯を全部くりぬいちゃってるから、
溶けたマーガリンがりんごの底からぜんぶ漏れてしまって、ホイルを空けた時にドローッと外にこぼれちゃうんですよ。
当時は、そんな事は全く気にしないで、いつものように、一人で食べて喜んでいたわけなんです。
ウルトラマン・仮面ライダー・正義の味方大好き世代の彼は、毎日テレビを見ていたんです。
ある時、♪ハウスバーモントカレーだよ~♪ りんごとハチミツとろ~り♪・・・・・・
「ピンッ」ときた!
『これだ!』
思いついたらすぐやらないと気がすまない、砂糖を蜂蜜に変えて作ったら・・・
「おいしいじゃん!」 そしてバターも買ってもらって作ってましたよ。
アレこそ、バカの一つ覚えですよ、何十回作ったか・・・。
そして例のごとく、冷蔵庫を開けてヘラヘラ笑っていた時のこと、奥の方になにやら小さな箱が・・・ その箱にはこう書かれていたんですよ、
《小岩井レーズンアンドバター》 (当時流行っていた)
『これだ!』
即、実行です。マーガリンからバター、蜂蜜、そして、レーズンアンドバターに出世した、 「我、愛しの焼きりんご」。
絶対に、美味しいだろうと食べたんですよ、ひとくち・・ひとくち・・・・ しかし・・・あまり・・・美味しくない・・・
どういう訳か、もうこれ以上食べようという気がしない・・・。
彼はもう飽き飽きしていたんですね、 焼きりんごに・・。
そして彼は、初めてこう言ったんですよ、
「おかーさーん!これあげる!」
なんという餓鬼だ! 自分が飽きたものをひとにあげるとは・・・
そして、いつものようにテレビの前に座りました。
すると、台所のほうで母の声が聞えた。
『これだ!』